「槍の折れ」の入力が終わった

「槍の折れ」の入力が終わった。
犯行の手口の意外性など、推理小説としてのできばえが良い。丁寧に書かれている
印象を受ける。
野村胡堂は売れっ子の作家だったので、平次物以外にも池田大助など多くの
シリーズを手掛けていた。
売れっ子作家の多作の時期には、どうしても作品の錬度が落ちる傾向に陥りがちに
なることは、世間にはままあることである。
野村胡堂がそうと言うわけではないのだが、戦争で出版界が窒息状態となる中で
胡堂への原稿執筆依頼も激減したものと思われる。それだけ丹念な仕事が出来たということ
だろう。この時期には水準の高い佳作が多く、「はずれ」がない。

これで第7巻の入力が終わった。また平次物では150作目にあたり、嶋中文庫が
出版した「銭形平次捕物控」全15巻の収録全作品に相当する分が終わったことになる。
嶋中文庫版は21世紀になってからの出版物なので、いまでもAmazonなどで古本が
容易に手に入る。
ところが、銭形平次物は全部で383編あるのだが、151作目の「お銀お玉」以降の233作品は
河出書房万全集を除くと極めて断片的な形でしか新字新仮名表記の本は出ていない。

旧字旧仮名の同光社磯部書房版を底本とする青空文庫でも未公表のために、
河出書房万全集が発行された昭和31年ごろから約60年間もまったく世に出されていない
作品も数多いのである。

そういう意味では銭形倶楽部の取り組みは、これからが本番である。気を引き締めて
完遂まで取り組んで行きたい。

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